こんな本置いてます vol.140

カエルが喜ぶ季節になりました。一匹が喜ぶとそれに呼応して大勢の仲間たちが喜びを分かち合います。そんなカエルの声は青い?これは共感覚の研究本です。一つの感覚ではなく、別の感覚も感じてしまうことが共感覚。まさにカエルの鳴き声を聞いて青いという色彩を感じていることが共感覚です。もう一冊は、仏様たちがサラリーマンという俗人に下がってくれて、マンガという俗物的な表現で、それぞれの役割を分かりやすく教えてくれる本です。

こんな本置いてます vol.139

「検察庁法改正案に抗議します」いつの間にか急先鋒のように扱われてしまっている小泉今日子さんの書籍です。どちらも10年ほど前に雑誌で連載されていたものをまとめた本です。原宿百景はそのまま原宿の風景と小泉今日子さんの写真が中心となっています。どちらかというと小泉今日子さんの写真集の様相です。小雨日記は小泉今日子さんの飼い猫の小雨目線で、小泉今日子さんの日常が綴られたエッセイです。小雨というオシャレな名前だけで、さすがと唸らせられます。ところで冒頭の検察庁法改正案ですが、採決の日が近づいてきた先週末から一気に盛り上がってきています。反対の人の声が圧倒的に聞こえてきたのですが、ここにきて検察庁法の改正は問題が無いという有識者の方も声を上げるようになってきました。コロナウイルス以来、テレビやSNSで同じテーマが違う解釈で洪水のように流れてきます。日本国民として無関心ではいられないのですが、何が正しいのか正直ついていけない事も多いです。ただ、この検察庁法改正案に関しては、いくら論理的に正しさを見せつけられても、理屈ではない受け入れがたい気持ちが残ります。本当は今までももっともっと関心を持って自分の意見も持たなければいけない出来事はたくさんあったと思います。

こんな本置いてます vol.138/アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた

15歳で亡くなったアンネ・フランク。同じ時を過ごして今日まで生き続けたアンネ・フランクの友人たちによるもうひとつのアンネの日記。当時の人たちの苦しみや絶望、悲しみがひしひしと伝わってくるのでは、と覚悟していたのですが、当時は少年少女だった時の目線。今は達観した老人たち。過剰な演出も為されていないので、淡々と語られています。おそらく当時の大人たちは、地位や身分がはく奪され、家族を守るために必死だったと思うので、大人たちの証言があればリアルに伝わってきたと思います。そこで、怖い物見たさではないのですが、感情移入をしやすくするために、NHKで同じような、アンネの時代を生きた人たちのドキュメンタリーの放送があったので、この本を補完するために見てみました。NHKの放送では当時の映像も映し出され、物のように山積みされている遺体も映っていました。それでも、今の時代とあまりにも現実離れしていてあくまでも遠い昔の過ぎ去った過去の出来事を見ているかのようで、真の意味で実感は湧きませんでした。ただ、ナチスによって分断させられた人たち、迫害されたユダヤ人もユダヤ人をナチスにばれないようにかくまった人達も、お金に困ってナチスにユダヤ人の情報を売り渡した人も、本当に悲しい世の中だったという事はよく分かりました。当時の自分がナチスだったら、ユダヤ人だったら、オランダ人だったら、人として正しい行動ができたと言い切れる自信はありません。今の時代と現実離れしていると言いましたが、今の時代で、この日本で、このような事が起きないとは言い切れません。なぜなら、世界報道自由度ランキングを見ると2010年の日本はドイツの17位より上位の11位でしたが、2020年ではドイツは10位に対して日本は66位になっています。私たちが見ている情報は何らかの圧力が加えられた、偏った情報を見させられている可能性があるからです。どうしても私たちは情報弱者にならざるをえませんが、できるだけ誤った見方をしないように声が大きい人だけの意見にひきずられないように気をつけたいと思います。同時に、当時の事ももう少し知っておく必要があると思いました。