アフォリズム

ホトリ文庫の中から、心に止まった格言、名言、名セリフを紹介します。

  

第61回

「それは、どうしたって死に向かっている体を、無理やりこの世につなぎ止めようとする行為なのだから、体ぜんたい、むくんできて、手足の関節も曲がらなくなる、かもしれない」


2019年5月

『椿宿の辺りに』 著・梨木香歩

お婆さんを自宅で看護しているが、死が近いと訪問看護師が言う。たまに来た孫の主人公が死ぬと分かっているのに、何故、病院に連れて行かないのかと訪問看護師に疑問を投げかける。すると、かえってきた答えが、病院に行った時の延命治療への批判。それは、せっかくゆっくりと死に向かっているのに、わざわざ苦しい思いをさせる事への反対意見として捉える事ができる。作者の死生観でしょうか。私も共感できる部分はあります。最後の「かもしれない」という逃げも面白い。(2024.1.16)

  

  

第60回

「この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる」


2011年11月

『カラフル』 著・森絵都

人はいい面もあれば悪い面もある。その事をカラフルという言葉で表現しています。さらに、進めてテレビやネットや新聞、雑誌、一つの出来事が色々な見方や考え方で情報があふれている。今日はこの人の考え方に共感しても、明日は全く反対意見に共感したりしてしまう。善し悪しの判断はいつも迷います。(2024.01.03)

  

  

第59回

「それは、「幸せにくいのないように生きること」」


2018年2月

『かみさまは小学5年生』 著・すみれ

生まれた時からかみさまや天使と話ができる、すみれちゃん。彼女が聞いたかみさまや天使が人間に一番伝えたいことだそうです。誰かや何かの犠牲になるのではなく、自分自身が人生を楽しんで生きていくという事が大切だって事です。かみさまや天使に見守られていると思うと勇気がわいてきます。(2023.07.23)

 

 

第58回

「あの日」


2012年7月

『ラブコメ』 著・原田マハ、みづき水脈

あの日。と言えば未だにあの日になる人はどの位いるのだろうか。そう、東日本大震災の日。この本はあの日から1年後だから、まだあの日でも仕方がない。でも、10年以上経って本を読みこまなくても未だにあの日というキーワードに触れるとあの日がすぐに頭をよぎります。ちなみに、この本はそこまで申告なテーマではなく、純粋に米を愛する人のエッセイです。(2023.05.31)

 

 

第57回

「僕の生命は僕の所有ではないからである」


2023年4月

『生きるために読む 死の名言』 著・伊藤氏貴

古今の著名人99人の遺言ではなくて、生前語った死生観が紹介されています。こちらは、文芸評論家の小林秀雄さんの言葉。思春期の頃は、死のうと思ったこともあったそうですが、自分は死ねないということを学んだそうです。その解答となる言葉です。残念ながらどうしてこの結論に至ったかまでは書かれていません。小林秀雄さんがどう感じたかは知りませんが、私は人それぞれ使命や役割を持って生まれてきているのではないか、という解釈で共感しました。(2023.05.07)

 

 

第56回

「私が皆さんの前で踊ってみせますので、まずは同じように踊ってみてください」


2022年12月

『西洋絵画の見方がわかる世界史入門』 著・福村国春

私も絵画の鑑賞は好きなのですが、絵画のメッセージや時代背景など、難しいところがあります。もちろん、絵の良し悪しは人それぞれ感じればいいのかもしれません。が、そんな事まで分かっていると一層、楽しめると思います。この本は世界史と合わせてルネサンスやバロックや新古典主義など、誕生した背景も分かりやすく教えてくれます。冒頭のセリフは序盤の作者のあいさつ文。歴史を習得することはダンスを習得することと同じ。見よう見まねで覚えていくということが書かれていました。こんな言葉を投げかけられると踊って(学んで)みたくなりますね。(2023.05.06)

  

  

第55回

「ヒヨドリを漢字で書くと鵯、卑しい鳥と書かれるのはやはりその性質を厭われた故だろうか」


2010年4月

『渡りの足跡』 著・梨木香歩

言い得て妙で笑えてきました。ちょっと可哀そうな気もしますが、うちに来るヒヨドリも本当になんでもよく食べます。花の蜜もよく吸っていますが、そのうち花もくわえだして・・・。(2023.3.1)

 

 

第54回

「私たち、いや、人が、人間はいかに生きるか? ということです」


2021年11月

『ミチクサ先生 下』 著・伊集院静

イギリス留学から帰ってきた夏目漱石は、妻鏡子の父・中根重一に、英文学とは何の役に立つのか?と問われた。流行りの本のタイトルのようですが、その時、漱石が答えたのがこの言葉。英文学に限らず読書を通じて、そこに登場する人たちに自分を投影して、自分を発見する。読書を続けることで得られる事の一つかもしれません。(2023.2.19)

 

 

第53回

「考える前に謝罪が口から出てしまうのは、癖みたいなものだ」


2022年10月

『相続人はいっしょに暮してください』 著・桜井美奈

これに続く次の一文、「その方がスムーズに物事が進むと知っているから」。妙に共感してしまいました。とある本にアメリカ合衆国に旅行へ行くときは「アイ・アム・ソーリー」と言ってはいけないと書かれていました。なぜなら、「アイ・アム・ソーリー」は謝罪の最上級で自分の非を完全に認める行為で、自分が悪い事をしたから好きにしていいと相手に伝える行為なのだそうです。極端な話、多額の損害賠償を求められても文句が言えないことになってしまうそうです。周りの人を注意深く見ると謝っておいた方がいいと思う場面でも絶対に謝らない人と、謝る必要がない場面なのに謝ってくる人がいます。前者は気が強い人。と、いうか自分を大切にしている人でしょうね。私は後者の方で、時には相手の顔色を勝手に想像して相手が望んでもいないのに、すぐに謝ってしまいます。でも、多くの日本人は同じなのかなぁと思います。テレビを見ていても何か起こした人に対してまず謝らせようとして、謝罪シーンを放送しています。謝らない人ってあごがれますって言うと不謹慎ですかね。(2023.1.29)

 

 

第52回

「つまり猫は、野生動物ではありません」


2018年4月

『野良猫の拾い方』 監修・東京キャットガーディアン

猫を保護するという観点から書かれたハウツー本です。この本を見るまでは猫は野生動物だと思っていました。もちろん、元々は野生動物ですが、現在見かける猫は古代エジプト人が家畜化したイエネコから派生しているようです。ですから、野良猫という状態は本来人間の助けが必要なのに人間が育てるのを放棄してしまった猫ということになってしまいます。ほとりカフェの周辺にも猫がたくさん闊歩していますが、この本の定義でいうと飼われている猫もいれば、食事を与えている優しい人に保護されている地域猫もいるみたいで、やせ細ったような猫は見当たらずみんな元気です。私も猫は大好きで、庭に上がり込んでくる猫たちも可愛くて仕方ないのですが、お店をやっているので飼う事は難しいです。エサをあげたいという誘惑に駆られる時もありますが、飼えないので無責任な事はできないと考えています。でも、いつか野良猫を保護してあげたいという気持ちはあります。(2023.01.03)

 

 

第51回

「ひと月分の利息が消えちまう」


2021年11月

『ミチクサ先生 上』 著・伊集院静

今日はグレゴリオ暦の2023年1月1日。グレゴリオ暦が採用されたのは明治5年12月3日から・・・。江戸時代から続けてきた鎖国を解いたため、商取引を行う上で西洋と暦が合わない事に不都合が生じ急遽、西洋と同じグレゴリオ暦に移行しました。急遽も急遽、広く公布されたのは11月9日。明治5年は12月2日までで終了。その翌日から明治6年1月1日に変わります。1か月足らずで暦が変わる事を知らされる。当時の民衆はさぞ慌てた事でしょう。明治時代を生きた夏目漱石の青春時代を描いたこの小説は、当時の雰囲気も生き生きと伝えてくれます。表題のセリフは急に暦が書き換えられたことによる混乱を象徴するように、高利貸しのセリフとして登場します。もちろん借金取りだけじゃなく、12月が無くなるということは、大晦日も無くなるので生活に与える大きな影響や混乱も予測できます。でも、当時は急激に近代化する一つの出来事に過ぎなかったのかもしれません。(2023.01.01)

 

 

第50回

「もとは「月立ち」で「月が立つ日」、つまり月の最初の日をいう」


2017年12月

『読んで見て覚える古文攻略マストアイテム76<常識・文法・和歌>』 著・武田博幸・鞆田祥悟

朔日(ついたち)の説明です。昔は太陰暦で、月が基準。月の始めは新月で月が立つ日。なるほど。(2022.09.04)

 

 

第49回

「昔は、町長さまも議員さまも、月給などは一文もない無収入の名誉職だった」


1991年3月

『史跡のまち岩出山の新・むかしかたり』 著・岩出山町教育委員会

明治・大正・昭和の岩出山の活き活きとした生活が描かれた本です。昔の人は隣近所助け合って生きてきたんだなぁと感慨深くなります。この一文だけでも町長や議員も地元のために走り回っていた事が伝わってきます。もちろん、真似をしろと言うつもりはありません。現代では勤労奉仕になると、どこか割り切った仕事になってしまう事もあり、むしろお金をしっかり受け取っていただいた方が責任を持った仕事になると思いますし、住民も遠慮なく意見が言えると思います。(2022.08.28)

 

 

 第48回

「たとえばパワーポイントのスライドのなかで、日本語でも伝わる言葉をあえて聞き慣れない横文字にして、その言葉を中心に説明を組み立てたりしていませんよね?」


2021年4月

『トヨタの会議は30分』 著・山本大平

自分が知らない横文字を使われると知らない自分を恥じてしまうこともあります。アジェンダなんていまだに意味を覚えられず言葉を聞くたびにネットで調べています。でも、トヨタではそんな言葉を使おうものなら「もういい!やめろ!」と止められるそうです。さすがムダの無いトヨタ生産方式。伝わらなければ効率が悪いですもんね。それにしてもビジネス用語をインターネットで調べると分からない横文字がかなり増えています。日本語でいいじゃん。(2022.06.14)

 

 

第47回

「小さな生き物が、花が、物が、風景が、私も描いて、僕も描いてよと、ニコニコと私に笑いかけながら迫ってくるような感じだった。」


2013年4月

『リボン』 著・小川糸

余命宣告を受けた美歩子先生が、現実逃避の手段として絵を描き始めて、生き物の煌めきを感じ取る場面です。私もコロナ禍で外出やカフェの営業自粛を余儀なくされていた時、お庭を眺める事が多かった。今まで気に留めていなかった鳥や虫、木や花や雑草までもが、本当に生き生きとしている姿を感じ取りました。せっかくキレイに咲いたのだから見てって語りかけてくる花や、僕はココにいるよって草の陰から呼んでくる虫。得意げに自由に飛び回る小鳥たち。邪気の無い生命たちはいつも心を洗ってくれます。一緒に遊びたくなりますが、そっと見守るのが一番でしょうね。(2022.06.13)

  

  

第46回

「人間は、自分たちだけが言葉を話していると、おもいこんでる」


2013年4月

『つばさのおくりもの』 著・小川糸

鳥のたちばからみた人間です。でも、わたしは鳥どうしで言葉をかわしていることをしっています。特定のオスと特定のメス。親と子ども。おたがいの声は、ほかの仲間とくべつしてしっかりと呼び合っているすがたをなんども見ています。(2022.5.2)

 

  

第45回

「アンディが日本語を第二外国語に選択したのは、まさにセクシーなシーンなどを挿入してファンサービスをしてくれる、アニメの『巫女』やセーラー服姿の身持ちの悪いマンガの女の子が大好きだったからだ」


2016年7月

『ゴールドフィンチ3』 著・ドナ・タート 訳・岡真知子

第1巻でも宮崎駿や鋼の錬金術師というワードが入っていました。アメリカ合衆国の学生に、日本のアニメーションは日本の学生と同じように影響を与えているのでしょうか。主人公のテオは、旧友の亡くなったアンディが実は日本人のミヤコという女の子と婚約していたことをアンディの母親から聞いて初めて知りました。でも、テオは上のような理由から納得しました。日本のアニメが外国で受け入れられているというニュースはよく見ますが、ドナ・タートが書いたこの一節から、必ずしも好意的に見ていない人もいるという事がうかがえます。この後のアンディの母親がミヤコという女性の事を「キーキー声のちっちゃな女の子で、縫いぐるみの動物のような形のハンドバッグを持っていた」と描写しています。日本のアニメを通じて日本をステレオタイプで見ている人もいるかもしれません。今のハリウッドでは、良くも悪くもステレオタイプ的な見方が排除されつつありますが。(2022.01.30)

 

 

第44回

「しかしその二つのグループの中間には、上から命令を受けてその意のままに行動する層があり、その層が人口の大部分をしめている」


2013年4月

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 著・村上春樹

2対6対2の法則ですね。上の20%にしろ、下の20%にしろ、中間の60%の人はそのどちらかに影響されて行動するという事です。会社組織に属しているサラリーマンの方は耳にしたことがあるかもしれませんし、この状況を感じる場面もあると思います。そうでない人も、今、全世界で新型コロナ騒動が起きているまっただ中で、良きにつけ悪しきにつけ色んな場面で見る事ができると思います。ただ、この本の登場人物の一人で世の中を知っているかのようなアカに言わせると中間層は60%ではなく85%です。(2022.01.09)

 

 

第43回

「俺のことを何か言う奴がいたとしても、俺はそいつのことを知らないんだ」


2021年9月

『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』 著・鈴木忠平

俺流と言えばこの人。世間から何を言われようとも、どんなに批判されようとも動じる事がない。この方の強い精神力の一端をのぞくことができる言葉です。(2021.12.27)

  

第42回

「それは生命を与えることだ」


2000年4月

『話を聞かない男、地図が読めない女』 著・アラン・ピーズ+バーバラ・ピーズ 訳・藤井留美

もう一文さかのぼると「相手に触れる。それは生命を与えることだ。」2000年に発売されたこの本を読み進めると今の時代と照らし合わせると極論が多い内容になっていますが、この一文は心に刺さりました。特に人だけではなく犬や猫を見ても生まれてきた我が子に対して舐めるという行為で、存在を認めている。大人同士ですと躊躇する場面の方が多いのですが、困ってる人、弱ってる人には効果があるように感じます。(2021.09.26)

 

 

第41回

「絵に描かれた者は魂を抜かれてしまうという」


2021年5月

『リボルバー』 著・原田マハ

ゴッホの死の真相を追いかける長編フィクション。ゴッホと一時共同生活を送ったゴーギャンがタヒチに渡った時の愛人の追想。どこの国でも似たような迷信があるものです。(2021.09.11)

 

 

第40回

「反対に、皇帝はなんでもできる」


2017年8月

『おじいさんに聞いた話』 著 トーン・テレヘン 訳 長山さき

神様に願い事をして、どれだけ救われただろうか。どれだけの奇跡を起こしてきただろうか。不確実な神様よりも、皇帝ならばどんな夢でもかなえてしまう。命令一つで軍隊をかき集めることも、金を集めることも、欲しいものを手に入れることも・・・。なんという皮肉でしょうか。それでも私は権力者よりは神様にお願いします。ちなみにこの本に出てくる皇帝ニコライ二世は最後は銃殺されていましたね。大きな権力を得ることができた人は、みんなにも分け与えてほしいものです。(2021.05.21)

  

  

第39回

「いまもカムイはどこかに潜んでいる」


2008年10月

『カムイ伝講義』 著 田中優子

カムイが好きな人なら信じて疑いません。赤目の方がもっと潜んでいそうですが・・・。潜むという事は追忍もいるという事か・・・。(2021.03.08)

 

 

第38回

「毛布は、制御盤をトラックに積み込みロープを掛けるさいに、傷が付かないように角に当てるためのものだった」


2013年12月

『渡良瀬』 著 佐伯一麦

これはこの本のセンテンスの一例に過ぎません。細かすぎて伝わらないモノマネという番組もありましたが、ネジの出が1.5山とか5山とか、M4からM5のネジのサイズに合わせてキリで何mm穴を開けるなどなど、主人公が働いている配電盤の製造工場の用語や用途が、必要以上に描写されている事に関心がいってしまいます。製造ラインで働いている人が読むとニヤニヤとほくそ笑むことができると思います。(2021.02.10)

  

  

第37回

「だから、電気の発達と共に彼らも滅びたのだと思います」


2010年4月

『人生をいじくり回してはいけない』 著 水木しげる

彼らとは誰か。水木しげるさんという事は、そう、妖怪です。人間が好き勝手に文明を発達させた結果、妖怪をも住めなくさせてしまったのです。だから、私も出会ったことがなかったんだ。(2021.01.24)

  

  

第36回

「鷹狩は今風に言えばゴルフのコンペのようなもの」


2020年9月

『伊達政宗の素顔』 著 佐藤憲一

「一、今回鷹狩の供をしてきた者は、決して近在の百姓たちに無礼をしてはならぬ。一、朝食のときは、酒は小杯で三杯まで、ただし、場合によっては五杯まで許す。一、晩は飲み放題。ただし、大酒は禁止々々。一、毎日狩場へでかけず留守をする者も、のほほんとサボっていてはならぬ。一、今回この風雪に大人気なく江戸に留まった者は、後で帰ってから罰金とする。」これは、政宗が家臣たちにあてた鷹狩のしおり(?)。当主自らが幹事になってこんなことをしたためているのが面白いです。1616年に書かれたものだそうですが、伊達政宗は49歳。ちょうどゴルフばっかりやっている世代ですね。江戸幕府が開府して大阪夏の陣で豊臣氏が滅んで間もない頃に、こんなお茶目なことをしているとは。親近感がわいてきます。(2021.01.17)

 

 

第35回

「そして、いつまたおかしな時代が始まるのかは、だれにもわからなかった」


2015年6月

『世界の果てのこどもたち』 著 中脇初枝

この一行が現在を予見しているかのようです。満州事変、太平洋戦争、戦後と隣同士の国の差別と偏見による虐待、虐殺が描かれています。テレビで時々取り上げられる1970年代のオイルショックの時に人々が我先にとトイレットペーパーを買い漁る姿を見て、噂に翻弄される当時の人たちを滑稽に思っていましたが、コロナウイルスが蔓延する2020年の現代に同じことが起こるとは思ってもみませんでした。そんな今だからこそ、この先、いつ国同士がいがみ合って同じように民族レベルで差別や虐待が行われるか分からないという実感があります。いつの時代もその時の指導者によって、国民は翻弄されてしまいます。もっと世の中の事を勉強して正しい指導者を選ばなければいけないと感じます。(2021.01.17)

 

 

第34回

「その博士によると、植物って人間のことが大好きなんですって」


2020年10月

『羽田さんに聞いてみた、小さな幸せの見つけ方』 著 羽田美智子

人生の節目を迎えた(本人がこの本の中でおっしゃっています)羽田美智子さんが生活のヒントをまとめた本です。自然と対話しながら昔の風習も取り入れたストレスの無いゆっくりと時間を過ごしている様子が目に浮かんできます。その中ででてきた話がこちら。羽田さんがヨーロッパ旅行した時にベルリンの植物学者の方から聞いたそうです。太古から地球で生き続ける植物がのどが渇いた時に、優しく水をくれたのが人間だけなので、人間に感謝しているそうです。私も年のせいか、こちらに越してきてから、お庭を手入れすればするほど、ここの土地が守ってくれるような気がする時があります。植物だって意思があるから繁殖しているので、わずかかもしれませんが心は通じるのかもしれません。(2020.11.21)

 

 

第33回

「じゃあ、ここで生きるのよ!」


2020年7月

『完全版ピーナッツ全集7』 著 チャールズ・M・シュツル 訳 谷川俊太郎

ピーナッツでおなじみのルーシーの心の相談室。今回のチャーリー・ブラウンの悩みは世間となじめず、人生が無意味にすぎている時、自分に何ができるか?ルーシーが説いたのは、あなたに生きる世界は他にはなく、この世界に生きるべく生まれた。そして、チャーリー・ブラウンに力強く怒鳴りつけたのがこのセリフです。5セントでいいのなら、私もルーシーに相談したいです。(2020.07.25)

 

 

第32回

「一人で行く者が誰より速い」


2011年10月

『007白紙委任状』 著 ジェフリー・ディーヴァー

この物語の正に最後の一文です。ここでは、追跡者を振り切るために用いられている言葉ですが、色んな意味が込められています。原作者はイアン・フレミングではありませんが、目的を遂行するために、家族も持たず、恋人も友人もドライな関係を保つジェームズ・ボンドを端的に表した言葉です。(2020.07.16)

 

 

第31回

「どこへ行くのかわからなければ、どの道を選んでも辿り着けない」


2009年1月

『スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則』

 著 ハワード・ビーハー ジャネット・ゴールドシュタイン

夢や目標を持つことの大切さを教えてくれる言葉。今、自分が行おうとしている事は本当に自分がしたい事なのか。人生を振り返るいい言葉ですが実践するのは難しいです。(2020.06.12)

 

 

第30回

「なによりも、支えとなる家族が疲労困憊しては、治療に励んでいる人はさらに不安になるかもしれない」


2015年10月

『精神医科学基礎』  日本学術会議協力学術研究団体メンタルケア学術学会監修

うつ病に対する家族が注意すべき事として入院をさせる事も検討すべきとして書かれています。精神疾患にしろ認知症にしろ介護にしろ、入院させるという行為は、家族でありながら見捨ててしまうという罪悪感を持ってしまいがちですが、結果、自分が病を患ってしまっては身も蓋もありません。看病する家族が負担にならないように、プロにお任せする事もかえって双方のためになるかもしれません。(2020.5.16)

 

 

 

第29回

「ギャンブル依存症は進行性で完治することはない精神的な疾患と考えることができる」


2015年10月

『精神解剖生理学基礎』 日本学術会議協力学術研究団体メンタルケア学術学会監修

不治の病だったんですね。恐ろしい。私ははなから向いていないと思っているので、避けてきました。このまま避け続けようと思います。(2020.5.11)

 

 

第28回

「ぼくは、追い詰められた患者さんとその家族のかたが、少数の医者がやっている夢みたいな治療に飛びついてしまうのを何回も見てきたんです。」


2018年4月

『永在する死と生』 著 柳美里

柳美里さんのパートナーの東由多加さんが癌で闘病中に主治医から訴えかけられた言葉です。私の父も必死で生きようと、藁をもすがる気持ちで、奇跡を信じて、色々と雑誌やインターネットで調べて様々な薬を試していました。でも、癌と分かってからわずか数ヶ月しかもちませんでした。笑い話にもならないのですが、死んだ後も契約が終わるまで謎の薬は送られ続けてきます。全てではないと思いますが、人の弱みにつけこんで善人のフリをして商売をしている人もいます。しかも、ボランティア価格ならまだしも、こういうものは得てして高額なのも厄介です。バカだなぁと今は思えても自分が同じ状況になったら同じ事をするかもしれません。この小説で例えられたものは、そういうものかどうかは分かりませんがふと思い出してしまいました。(2020.3.22)

 

 

 

第27回

「その後何度も実験をくり返したが、子ギツネの排便、排尿はそれぞれの部位への刺激がなければまったく機能しないことを知った」


2013年9月

『キタキツネの十二か月』 著 竹田津実

生まれたてのキタキツネの子供を預かった著者の家族。ウンチやオシッコは自然に出てくると思うのが普通ですが、そうではなく、刺激を与えないと出さずにお腹に溜まりっぱなしになっていました。母親のキツネが産まれた後の子ギツネを一生懸命なめている理由がここにありました。キツネに限らないと思いますが、この本に書かれているキツネの親が子育てのためにしている事って本当に感心しますし、感動します。(2020.3.20)

 

 

第26回

「学校教育が基本的に”唯一の答え”を導き出すための、いわば収束的思考の訓練をする場であるといえるからです」


2017年4月

『こころ検定4級』  日本学術会議協力学術研究団体メンタルケア学術学会監修

この本では、日本の教育は例えば、算数ならば4+2=□のようにあらかじめ答えが一つに決まっている問題に対して答えを導き出す、収束的思考を訓練する勉強方法と断言されています。一方、拡散的思考の場合は□+□=6のように、小数点を含めると無限に色々な答えが考えられる方法です。日本では主要5教科すべてが収束的思考の勉強となっていると言うのです。日本人の勤勉さ真面目さ、悪く言えば頭の硬さを象徴しているかのうような勉強スタイルです。 そんな日本人が産みだすものと言えば、ムダやムリを極力排除した高い生産性で作り上げられた高品質な製品が売りのように思えます。日本が誇るものづくりとは、収束的思考によって得られているのかもしれません。しかし反面、こだわりが強すぎて、上手く遊び心を取り入れられないでいるのかもしれません。決して悪い事ではないのですが、もっと自由な発想を持てるようになれたらいいなぁと思いました。でも、勉強スタイルのせいだけではなく、自分の個性や努力も大きな原因だとは思いますが・・・。(2020.3.1)

 

 

第25回

「同じ体験をしても、それをどのように咀嚼して、アウトプットするのかは人それぞれである。」


『本屋という「物語」を終わらせるわけにはいかない』 著 松本大介

2018年3月

しごく当たり前な話ではあります。同じ事を経験してもどう感じるかは人それぞれ。自分が感動したからと言って、同じ現場に居合わせた人も同じように同じくらい感動しているわけではありません。分かってはいるのですが、その事に気づかなかったりして、自分と感想が異なると憤ってしまう事はよくあります。本書では、新しいお店づくりのために、立ち寄った小山の本屋からヒントを得たエピソードで使われた言葉なので、少し意味合いは違いますが、あらためて肝に銘じる言葉として心に引っかかりました。(2020.1.27)

 

 

第24回

「写真に惹かれるということは、それを撮っているカメラマンの心に惹かれるということだ」


『四月になれば彼女は』 著 川村元気

2016年11月

大島がライブハウスでハルに言った言葉。ライブハウスの場面なので、元々音楽のたとえで使った言葉ですが、その後で、ハルの好きな写真も一緒だよと言って、話したこちらの言葉の方が刺さりました。何にでも当てはまりますね。音楽でも写真でも小説でも絵でもマンガでも・・・、共感が持てるモノと持てないモノがあります。共感が持てるモノってそれを産み出した人にも共感を持ちますね。(2020.1.2)

 

 

第23回

「読むことは素敵な共犯者になること」


『詩の向こうで、僕らはそっと手をつなぐ。』 著 川口晴美

2014年6月

萌詩アンソロジー。中原中也、石川啄木、島崎藤村などなどの歴代の詩人たちの萌える詩を集めた作品。歴史的かなづかいの美しさも堪能できますが、ここで紹介するのは、川口晴美さんが書いた後書き。どの詩よりもこの一文が一番萌えました。(2019.12.25)

 

 

第22回

「じゃあオレは、あと三年でジェットコースターに乗れなくなるのか」


『そうだ、やっぱり愛なんだ』 著 柴門ふみ

2013年10月

『東京ラブストーリー』でお馴染みの柴門ふみさんのご主人の弘兼憲史さんのセリフ。テーマパークのジェットコースターに乗る前に聞いた注意事項です。ここのテーマパークでは60歳以上は乗れないという制限があるようです。そうか、年齢制限って上限もあるんだ。ジェットコースターに乗る気はありませんが、年も取りたくありません。(2019.10.9)

 

 

第21回

「第2の危機:自然に対する働きかけの縮小による危機」


『改定7版 環境社会検定試験 eco検定公式テキスト』 著 東京商工会議所

2019年2月

生物多様性が直面している危機の一つです。もちろん、人間が開発をし続ける事も自然への驚異としてあげられていますが、逆に、人口減少などにより自然に対する人の働きかけが縮小される事も自然への驚異とされています。今まで、人間は自然を破壊するだけの存在だと思っていたのですが、人間が手を加えないと自然の質が低下したり、ある特定の個体が異常繁殖して自然のバランスを崩してしまうのかと、驚きました。時々、生態系を崩してしまうヒトが何故、地球に誕生したのか不思議に思う事がありました。もしかしたら、ヒトは生態系のバランスを整えるために、知的生命体として地球に誕生したのかもしれません。ヒトは人間の事しか考えてきませんでしたが、本当は地球の事を考える事が使命として与えられた存在なのかもしれません。(2019.07.22)

 

 

第20回

「そういえば、カズオ・イシグロさんはとても好感の持てる作家さんでした。」


『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』 著 村上春樹

2012年7月

村上春樹さんのエッセイ集より。作家同士のつきあいがあまりない理由として、小説家はけっこうめんどくさいという話を書いた最後に、フォローするかのように書かれていました。村上春樹さんがカズオ・イシグロさんについて、言及していた事がとても面白いです。(2019.05.31)

 

 

第19回

「伯爵の原型は「レッド・ツェッペリン」のロバート・プラント」


『「エロイカより愛をこめて」の創り方』 著 青池保子

2005年2月

納得。(2019.05.29)

 

 

第18回

「If a child lives with approval,He learns to like himself.」


『アメリカインディアンの教え』 著 加藤諦三

1990年7月

車に載ってラジオを聞いていると、時々、出会う番組『テレフォン人生相談』。そのメインパーソナリティーの加藤諦三さんが書かれた本です。アメリカインディアンの11の教えからなる子育ての指南書で、原文は裏表紙に載っていて、If a child lives with~,He learns~.(〇〇を受けて育てられた子は〇〇を学びます)という文章で構成されています。どれを取り上げても名文ですが、ここで取り上げた言葉は、第10章「人に認めてもらえる中で育った子は自分を大事にします」です。子育てだけではなく、ハラスメントやうつが問題となっている昨今、人との接し方も学べる本だと思います。全文を読まなくとも11のこのセンテンスを読むだけでも、ためになると思います。(2019.05.16)

 

 

第17回

「本屋は本を紹介することが仕事です。」


『365日のほん』 著 辻山良雄

2017年11月

本屋さんの店長でもある辻山良雄さんが書かれた1年分の本を紹介する本です。「本屋は本を紹介することが仕事」。当たり前の事かもしれませんが、それに気づいたのはつい最近です。そう、南相馬市で本屋『フルハウス』を営んでいる柳美里さんに本を選んで送っていただいた時です。自分では選ばないであろう本がたくさん送られてきました。その時に、今のその人に合った本を選んでお薦めするのが、本当の本屋さんの仕事なのではないかと思いました。当店も古書を取り扱っております。お客様に出会って良かったと思っていただけるような本を取り揃えていきたいと思います。(2019.05.13)

 

 

第16回

「その母親の置かれていた状態を充分に知らないうちから、「人間の屑」と断定できることのほうが不思議でならなかった。」


『SOSの猿』 著 伊坂幸太郎

2009年11月

論理的にしか物事を考えない五十嵐真が、あるTVを見た時に思考した事。この本が刊行されてから約10年。今でもワイドショーを見ると、出来事の一部だけしか見せられていないのに、それについていい悪いと裁いているタレントさんをよく見かけます。TVではなくても、ここぞとばかりに乗っかってネットで裁く人もいます。おそらく白黒はっきり言ってくれる人の方が自分の代弁者としてウケがいいのだと思います。でもTVは視聴率が大切なので、多くの人に受け入れられそうな情報の流し方をしていると思います。そういう私自身もいつの間にかTVやネットの情報をそのまま受け入れてしまっている事も多々あると思います。こうして書いているSNSの内容も、受け入れられやすい表現を考えながら書いています。今の時代、情報リテラシーをしっかり身につけなければと思います。(2019.05.11)

 

 

第15回

「みんなと同じ意見を言うと、こいつはアホかと思われるのだそうです。」


『ヒトは「いじめ」をやめられない』 著 中野信子

2017年10月

「いじめ」について脳科学者としての立場から、原因と解決法を提示していく本です。科学者らしく統計データなどを用いて解説されていきますが、終盤、『イタリア人はみんな言うことが違います。』とステレオタイプとも取れなくもない話が飛び出します。出る杭は打たれる文化の日本に対してイタリアは個性が尊重される事を表していますが、人に対する先入観も「いじめ」につながりかねない上に、イタリア人が「こいつはアホか」って言っている姿を想像すると面白くなってしまいました。(2019.05.04)

  

 

第14回

「私は36歳になり、お店も、店員としての私も、18歳になった。」


『コンビニ人間』 著 村田紗耶香

2016年7月

この一文を読んだとき、背筋がゾゾゾっとしました。タイトルからコンビニが生活の一部となってしまっている人の話とは思っていましたが、主人公の女性がいかに異質な存在か表現された後にくるこの展開。店員として18年も年を重ねる事の異様さにはまってしまいました。巧みな展開です。(2019.04.23)

  

  

第13回

「だれしも自分たちの本屋に愛着がある、A・J・フィクリーが想像したこともない愛着がある」


『書店主フィクリーのものがたり』 著 ガブリエル・ゼヴィン 訳 小尾芙佐

2015年10月

以前は、町にはお気に入りの本屋があって、休日は真っ先にそこに遊びに行っていました。今はなんでも揃っている大型書店があちこちにできているので、こういう事を思う人も減ってきているかもしれません。当店も古書を揃えています。スペースがごくごく限られているので、より自分の個性が反映されます。多くの人に共感してもらえたらいいなといつも思っています。(2019.03.26)

 

 

第12回

「今の人 毎日会うけど 知らぬ人 友蔵心の俳句」


『4コマ ちびまる子ちゃん 1』 著 さくらももこ

2008年4月

私も毎朝、家の前を通り過ぎる人に誰彼かまわず声をかけています。友蔵と同じ体験をしていた事にしばらく笑いが止まりませんでした。新聞に連載されたちびまる子ちゃんの4コマ漫画。4コマに笑いが濃縮されています。(2019.03.24)

 

 

 第11回

 「私は、小高い山のふもとにある、小さな一軒家に暮らしている。」


『ツバキ文具店』 著 小川糸

2016年4月

『ツバキ文具店』の最初の文章です。本のページを開いて、こんなにワクワクする事って・・・、小さい頃に初めてマンガを手にした時以来かもしれません。本当は最初の文章の前に掲載されている「鎌倉案内図」を見た時にボルテージが上がりました。はっきり言って、ドラマが先です。多部未華子さんが演じたNHKのドラマでものすごくファンになったので、原作本を買って、高揚した気持ちのまま、最初の文章を読んで(見て)いきなり感動してしまいました。(2019.03.22)

  

 

第10回

「痛みは、自分を見失わないために必要なもの。」


『ねこのおうち』 著 柳美里

2016年6月

中学生の少女が自傷行為をしている理由。心が不安に支配されて、どこかへ行ってしまった時、ぼーっとして何かにぶつかって身体に強い痛みを感じて、ふと心が戻ってきて我に返る事ってあると思います。私は自傷行為はしませんが、なんとなく共感しました。この文章の前の行の生々しい自傷行為の表現は、思わず目を覆ってしまいました。映像ではないのにプロの作家の表現力はすごいです。ちなみに『ねこのおうち』はとっても優しさに満ち溢れた心温まる本です。誤解を与えてしまったら申し訳ございません。(2019.03.09)

 

 

第9回

「たぶん「けんしょう炎」と言いたかったのでしょう・・・・・・。」


『47都道府県女ひとりで行ってみよう』 著 益田ミリ

2008年6月

思わず声を出して笑ってしまいました。ツアー客のおじさんが津軽三味線を弾いている人に「そんなに指を動かして、けんぼう症になりませんか?」と聞いたのだ。益田ミリさんが本のタイトル通りの旅をしたエッセイ。ここ宮城県は名物牛タンを食べてみたけどダメだったと正直なコメントが書かれていた。決して訪れた県を手放しで称えるわけでもなく、素直な感想がつづられている。だから面白い。(2019.02.22)

 

 

第8回

「人のことをわかってあげるということは、生きていくうえでとても大切です。」


『チャーリー・ブラウンなぜなんだい?』 著 チャールズ・M・シュルツ

1991年10月

チャールズ・M・シュルツの絵本ですが、この言葉はまえがきに書かれたポール・ニューマンという有名な俳優の人と同じ名前の人の言葉です。なりたくて重い病気になったわけでもないのに、誤解されていじめられている子どもが多いという事を知ったチャールズ・M・シュルツが書いた絵本です。子どもにむけた言葉ですが、大人も知っていなければいけない言葉です。(2019.02.21)

 

 

第7回

「今回は見張りのいないラインの有刺鉄線を切って入ろうかなって」


『おいで、一緒に行こう』 著 森絵都

2012年4月

東日本大震災、同時に起きた福島の原発事故。人々は避難を余儀なくされ2019年2月現在、未だに家に帰れる目途が経っていません。人々に避難指示が出されても、ペットまでは連れていく事は許されない。今回の原発事故で人を頼って生活していたペットたちも大きな犠牲をはらっています。この本は、そんなペットを救出すべく福島県に向かった中山ありこさんを森絵都さんが取材したドキュメンタリーです。覚悟してたはずの森絵都さんでしたが、最初から急展開とも言うべき行動に驚かされます。立ち入り禁止の20km圏内の有刺鉄線を切ってまで侵入する。 もろに放射能の危険に晒される地域に、自分のためでもなく、誰かのためでもなく、知らない人に飼われていたペットたちを助けに行く。この有刺鉄線を切る行為を誰が非難できるでしょうか。法律でさえ非難できないと思います。(2019.02.16)

  

 

第6回

「相手になにかしたろと思わんことや」


『仏果を得ず』 著 三浦しをん

2007年11月

第5回と真逆のセリフですが、文楽という私にはなじみのない世界を描いた三浦しをんさんの小説からの一説です。子連れで旦那がいるのかどうかも分からない、女性に振り回されて悶々としている主人公健を見かねた友人の誠二が言ったセリフです。恋愛で駄目にならん秘訣だそうです。(2019.02.11)

 

   

第5回

「退院したら、子どもや旦那さんにつくってあげようって、皆さんそんなうふうに思うみたいですよ」


『本屋図鑑』 著 得地直美 本屋図鑑編集部

2013年7月

全国47都道府県で出会った本屋さんを紹介する変わり種の本。浜松の病院の中にあるとある本屋さんには料理本が数多く置かれているそうです。そこで、理由を尋ねてみると、上の答えが返ってきました。自分も入院していて大変なのに、家族の事を思う気持ち。人が人を思う時、感動が生まれます。(2019.02.10)

 

   

第4回

「本を読むのが好きになったのは、本を読んでいる人には声を掛けにくいのではないかと思ったからだった。」


『小泉今日子書評集』 著 小泉今日子

2015年10月

2005年から2014年までの10年間、読売新聞に掲載されていた小泉今日子さんの書評集をまとめたこの本は、こんな衝撃的な文章から始まります。キョンキョンのアイドル全盛期をリアルタイムで見てきた私たちの世代にとっては、あまりにも衝撃的な言葉です。十代の頃は忙しくて人と話すのが億劫だったそうです。オープンな性格とばかり思っていました。でも、逆に親近感が湧いてきました。(2019.02.09)

 

 

第3回

「一度見たら一生忘れられない、素晴らしい光景がある。」


『渡り鳥からのメッセージ』 著 葉祥明

2012年3月

葉祥明さんの絵本からの引用です。葉祥明さんが蕪栗沼で渡り鳥のねぐら入りと飛び立ちの光景を見た感想をこの絵本のあとがきに綴っています。私も同じ体験をして、同じ感想を持ちました。この光景はおそらくどの世界遺産の光景にも負けない光景だと思います。あとがきの最後はこんな言葉で締めくくられています。「蕪栗沼の数万の渡り鳥を見たら、きっとあなたの意識は変わるだろう。」私の意識も変わりました。この光景は後の未来まで守り続けなければいけないと感じました。(2019.02.01)

 

 

第2回

「あなたはちゃんと成果を得ている」


『ヒマラヤ大聖者のマインドフルネス』 著 相川圭子

2017年3月

がんばっても認められないと思う事もありますが、がんばっている過程で前向きな気持ちにもなれたし、意志の力も高まっているし、集中力も高まっている。人からの見返りという欲を持たなくても、ちゃんと成果は得ていて成長できている。肝に銘じたい言葉です。(2019.01.26)

   

 

第1回

「たしかな未来は懐かしい風景の中にある」


『和暦で暮らそう』 著 柳生博と和暦倶楽部

2008年3月

本のあとがきに添えられた柳生博さんの言葉。環境問題の答えを現した素晴らしい言葉です。(2019.01.23)