こんな本置いてます vol.138/アンネ、わたしたちは老人になるまで生き延びられた

15歳で亡くなったアンネ・フランク。同じ時を過ごして今日まで生き続けたアンネ・フランクの友人たちによるもうひとつのアンネの日記。当時の人たちの苦しみや絶望、悲しみがひしひしと伝わってくるのでは、と覚悟していたのですが、当時は少年少女だった時の目線。今は達観した老人たち。過剰な演出も為されていないので、淡々と語られています。おそらく当時の大人たちは、地位や身分がはく奪され、家族を守るために必死だったと思うので、大人たちの証言があればリアルに伝わってきたと思います。そこで、怖い物見たさではないのですが、感情移入をしやすくするために、NHKで同じような、アンネの時代を生きた人たちのドキュメンタリーの放送があったので、この本を補完するために見てみました。NHKの放送では当時の映像も映し出され、物のように山積みされている遺体も映っていました。それでも、今の時代とあまりにも現実離れしていてあくまでも遠い昔の過ぎ去った過去の出来事を見ているかのようで、真の意味で実感は湧きませんでした。ただ、ナチスによって分断させられた人たち、迫害されたユダヤ人もユダヤ人をナチスにばれないようにかくまった人達も、お金に困ってナチスにユダヤ人の情報を売り渡した人も、本当に悲しい世の中だったという事はよく分かりました。当時の自分がナチスだったら、ユダヤ人だったら、オランダ人だったら、人として正しい行動ができたと言い切れる自信はありません。今の時代と現実離れしていると言いましたが、今の時代で、この日本で、このような事が起きないとは言い切れません。なぜなら、世界報道自由度ランキングを見ると2010年の日本はドイツの17位より上位の11位でしたが、2020年ではドイツは10位に対して日本は66位になっています。私たちが見ている情報は何らかの圧力が加えられた、偏った情報を見させられている可能性があるからです。どうしても私たちは情報弱者にならざるをえませんが、できるだけ誤った見方をしないように声が大きい人だけの意見にひきずられないように気をつけたいと思います。同時に、当時の事ももう少し知っておく必要があると思いました。