こんな本置いてます vol.15/ツバキ文具店

本は、その物語の情景を想像する事も楽しみの一つです。本から受ける印象は人それぞれ違うので、思い浮かべる情景も無数にあります。しかし、この『ツバキ文具店』。私はNHKで放送されていたドラマを見て好きになったので、原作本を読みました。ですから、残念ながら情景を想像する楽しみはありません。文具屋はドラマのセット、ポッポちゃんは多部未華子さん、バーバラ婦人は江波杏子さん、パンティーは片瀬那奈さん、男爵は奥田瑛士さんの顔が浮かばずにはいられません。ドラマを見て好きになったのだから、仕方ありません。しかも、ブックカフェを始めるにあたって、必ず置きたかった本でもあります。前置きが長くなりましたが、物語は亡くなったおばあちゃんの跡を継いで文房具屋を営むポッポちゃんのお話です。文房具屋のかたわら副業で代書屋もやっています。代書屋というのは本人に代わって手紙の代筆をする稼業です。でも、原稿があるわけではなく、本人から事情を聴いて手紙に書く文章まで考えなければなりません。相手の事を想って、手紙の代筆を頼む依頼人。その依頼人の想いを伝えようと文章にするポッポちゃん。無心に人を思いやる事の美しさを教えてくれる物語です。ポッポちゃんもまた、他の登場人物と同じく心に引っかかっている人がいます。反抗期に喧嘩別れしたおばあちゃんです。愛情があるからうるさい事ばかり言われてきたという事に気づいても、もうおばあちゃんは他界していない。感謝したくても届けられない想いが涙を誘います。情景が想像できないし、ストーリーも分かっているので楽しさは普段読む本よりも、そぎ落とされていましたが、残った楽しさはかなり大きなものでした。

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