こんな本置いてます vol.221/椿宿の辺りに

梨木香歩さんの『椿宿の辺りに』。装幀の美しさもあって手にとりました。タイトルからも神話的な雰囲気が漂います。内容は現代ですが、過去の因縁をひきづっている所が、どこか万城目学さんの作品を思い起こします。ちなみに表紙絵は海の幸山の幸の本当の屏風絵で、今回の主人公と関係深いです。三十代の主人公の山彦が肩の痛みから治療のためにペインクリニックに行く。そこの女医さんが「風情が少女だが五十前後」で山彦に安心感を与えてくれるという描写。わざわざ風情が少女というキャラづけがロマンス的な事をにおわされてしまいましたが、その後、気が強そうなキャラ設定の従妹の海子が現れて、先祖を遡る冒険(?)的な作品に切り替わっていきました。少しコミカルに味漬された文章ですが、奇想天外なストーリーなので進行を整理しながら読み進めていかないついていけなくなる時もあります。到底ありそうもないお話ですが、迷信が本当になるという経験と考えると決して無くはない話でもあります。TVドラマで実写化された方が話がうまく入ってくると思いました。