ミチクサ先生 下

夏目漱石物語の下巻です。写真の印象の通り、すごく真面目で礼儀正しい人です。しかし、そんな彼のキャラクターとは真逆な人生です。49歳でお亡くなりになりますが、波乱万丈で太く短い人生です。作家になったので後世まで多くのファンがついて、語り継がれますが、その作家の活動期間はわずか晩年の10年間。それまでは主に教師なので真面目な職業ですが、イギリスに留学したり満州を旅したり新聞社に入社したり紆余曲折がすさまじいです。明治とはそういう時代なのでしょうか。江戸っ子は宵越しの銭は持たぬとよく言われますが、毎晩夏目漱石を慕う仲間が遊びに来て、その人たちをもてなして、いくら給金を多くもらっても出費の方が多い。奥さんが金策に苦労して借金は当たり前。お金のやり繰りや家の事は奥さんの仕事。昔はそんな時代だったのでしょうか。人が良すぎる性格ですが、本当に奥さんは大変だと思います。この時代の人たちはがむしゃらに無我夢中に、生きてきた、生きなければいけなかった、そんな姿が目に浮かびます。明治の人たちが令和の人たちを見ると『ボーっと生きてんじゃねーよ』って叱ってきそうです。この小説を追いながら夏目漱石の作品を読んでみたくなりました。