驚くことに物語の半分以上が配電盤の話です。配電盤と向き合う工員たち。しかも、マニアックで専門的な用語や配線技術。配線一つとっても職人気質のベテランの人はやり方が違うようです。電気工でなければ到底理解できない内容です。私も電気工の経験は無いので理解できません。でも不思議と読めてしまいます。分かりやすく書かれているわけでもないのですが、読めてしまいます。おそらくテレビで放映されていてもおかしくないホームドラマな内容なので読めてしまうのかもしれません。時は昭和の終わり、家庭を持っている主人公が家族の事を子供たちの事を考えて、引っ越して新しい職場に移って、配電盤の技術を磨いて自分の成長と子供の成長を見つめていく内容です(語弊があるかな・・・)。職場に出勤して、仕事して、お昼休みをとって、また仕事して、仕事が終わって飲みに行って、家に帰って時々家族と向き合ってが繰り返し繰り返し描写されます。その中で時には仕事のトラブル(配線トラブル)があったり、思わせぶりな飲み屋の女性に気持ちがいきそうになったり、子供にとって成長への階段の象徴でもある鉄棒がでてきたり・・・筆者は男性ですし主人公も男性なので当然ですが、男目線のホームドラマです。配線に詳しい人はとても引き込まれるのではないでしょうか。