ゴールドフィンチ1

この本は柳美里さんに選んでいただいた本です。ドナ・タートの2014年度のピューリッツァー賞受賞作品。全4巻の長編大作の第1巻です。海外では来月映画公開される旬な作品です(日本では今日現在、公開未定)。全4巻なので、言ってみれば起承転結の起の部分でしょうか。第1巻は私の読み方が悪いと思うのですが、いい意味でも悪い意味でも、帯に引っ張られました。美術館爆破テロと少年が持って行った小さな鳥の名画を追って読んでしまったので、テンポがあいませんでした。冒頭に起きた美術館爆破テロからは、思った以上にゆっくりと丁寧に物語が進んでいきます。最後の方で、小さな鳥の名画が出てきて、またテンポアップしました。 物語の時代設定は意外にも現代です。物語は主人公の少年の第一人称で描かれています。少年と考えると非常に表現豊かな少年ですが、表現豊かでなければ、物語にはなりません。全体像を把握していませんので、2巻以降、どういう展開になるのかまだ、予測ができません。少年の成長物語か、鳥の名画や美術館爆破テロの謎解きなのか、2巻以降も読み進めていきます。 映画ではバーバー夫人の役をニコール・キッドマンが演じるという事は、物語の重要な役割を担っているのでしょうか?ところで、この鳥の名画はレンブラントの弟子のカレル・ファブリティウスという画家が描いた「ゴシキヒワ」です。物語にも出てきますが、カレル・ファブリティウスもこの物語と同じく爆発に巻き込まれて不慮の事故で亡くなっています。この小説を読むまでは全く知らなかったカレル・ファブリティウス。とても興味がわきました。最後に、驚いたのは、日本の文化って本当に海外に浸透しています。この物語にも「源氏物語」を始め「宮崎駿」や「鋼の錬金術師」はたまた「とらや茶房」という言葉まででてきます。